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「足が、身体が動かない……!?」
すぐにでも立ち上がろうと足に力を入れるものの、
私の足はうんともすんとも言わなかった。
どういうこと?
足どころか、腰から下が動かなくて立ち上がれない。
まるで私の身体じゃないみたいで……
感覚はちゃんとあるのに、とても奇妙な感じ……
「か、会長っ……息が、苦しいです……!」
「はぅ、ンッ……ああぁ、申し訳ありませんっ……
 その、すぐに離れたいのですが……ん、くぅ!」
(だめ、どうしても足が、下半身が動かない……
 力を入れても、押さえ付けられてる感じで……)
(この感じ……まさか、またあの時みたいに……
 身体の自由が利かなくなってるっ……?)
あの時……思い出すのもつらい初体験の記憶が
頭の中で呼び起こされて、息が詰まってしまう。
「か、会長っ……?」
「あっ、あぁっ、ごめんなさいっ……!」
私の動揺を感じ取ったのか、
景浦さんが心配そうに声をかけてくる。
落ち着かないと……今はあの人はいないのだから、
また襲われてしまったりなんて、しないはず……
「あの、その、腰から下が動かなくて……
 ううぅ、動けないんですっ……!」
「会長、もしかして……ん、んぐ……
 どこかぶつけて、痺れてるんじゃ……」
「ん、んくっ……し、痺れ……?」
(そ、そうなのかしら?
 それだけなら……あの時と違う状況なら、
 少し安心だけど……)
何にせよ、
このままじゃ身体をどけることができない。
彼の顔をお尻で踏んづけたまま……
「あ、ああぁ……」
改めて冷静に考えてみると、
なんて恥ずかしい状況なの!
お尻を男の人の顔に押し付けてしまうなんて、
はしたないにもほどがあるわ……!
それに彼が喋るたびにオマンコがムズムズとして……
もしかして彼の口の位置って……
(う、うそ……私ひょっとして、
 彼の口にアソコを押し付けちゃってるの!?)
「むぐ、むぐぅっ……苦しいっ……
 口が塞がって、息が……」
「はうっ、ううぅっ……!」
やっぱりそうだ、彼が喋ったり動いたりするたびに、
敏感なところが震わされてしまう。
水着越しとはいえ彼の口に……
私の恥ずかしいところを押し付けてしまうだなんて。
「あ、あの、景浦さん……
 そちらで動くことはできませんか?
 私はまだしばらく立てそうになくて……」
「うぐ、むぶぅ……すみません、
 体勢的に難しくて、俺も上手く力が……」
「ん、んくっ……そ、そうですか……」
体勢的に、私が彼の顔に体重を乗せているから、
身体を起こすことはもちろん、
抜け出すことも難しいみたい。
(お、重くないかしら……
 でもただでさえ恥ずかしいこの状況で、
 こんなことを聞くのも、また恥ずかしいし……)
「むぶっ、ぷはぁっ……! はぐ、ううぅ!」
「んッ、はぅっ……!」
彼が息苦しそうに呻いたり、
息継ぎをしようとしたりするたびに、
股間がもぞもぞと口で刺激されてしまう。
その悩ましい刺激に声が出そうになるけれど、
こんな変な声を聞かれるわけにもいかず、
私は必死に声を抑えようとする。
お母様やお父様に隠れて読んだ、少しエッチな本に、
これと同じシチュエーションが掲載されていた。
こんな漫画みたいな偶然が本当に起こるなんて。
あの漫画では、水着も何もない状況で、
顔にアソコを押し付けていたけれど……
「むぐっ、なんとか抜け出せるか……
 た、試します……うぐっ、むむぅっ……!」
「はっ、はぁっ……ぁっ、ンンッ……!
 ちょ、ちょっと……はぁっ、ふっ、くぅッ……!」
彼がこの状況から抜け出そうと身を揺すると、
それだけアソコと彼の顔がグリグリと擦れ合う。
あまり顔を動かさないでほしい。
顔を動かされると、アソコに食い込んで、
変な刺激が走ってしまう。
(でも、元はといえば私が転んだのが原因だし、
 彼は苦しんでいるから、動かないでくださいだなんて
 言えないし……)
(で、でも、そこに顔をぐりぐりされると……
 うぅぅ、ムズムズして、声が……)
匂いとか感触とか、彼に伝わっていないだろうか?
私の変な声が漏れているのに気づいていないだろうか。
恥ずかしすぎて、顔から火が出そう。
脳も沸騰して壊れてしまいそう……
  
 
 
 
 ※主人公のデフォルトネーム「景浦 祐史」は名称変更可能です。